今回は、
「借入とは、時間を買うこと」
というテーマです。
なんだか哲学的なタイトルですが、
銀行からの借入とは、すなわち時間を買うことです。
どういうことかと言いますと、
まず経営において「攻め」の視点で見てみます。
経営をしていると、たまにチャンスというか、
「ここで、資金を投下すれば儲かるかも!?」
ということがあります。
それは例えば、機械設備への投資かもしれませんし、
新たなビジネスへの参入かもしれません。
その時に、手元にお金はあるでしょうか。
例えば、毎年500万円利益が出ている会社があるとします。
税金を引かれると、大体350万円くらいが手元に残ります。
この利益を、毎年コツコツ貯めると、
3年で約1,000万円になります。
5年で1,750万円。
10年で3,500万円です。
その間、大きな投資もせず、赤字も出さずに手堅く経営して、
やっと2,000万円、3,000万円が手元に残ります。
ここで、もし借入という選択をすると、
早ければ一か月で2,000万円くらいは手元に入ってきます。
何年もかけてやっと貯まるお金を、一か月で手に入れることができます。
これが、時間を買うという意味です。
「借金は嫌いだから、自己資金だけでやる」
という選択をすると、お金が貯まるまで何もできず、
もしかしたらビジネスチャンスを逃すかもしれません。
これが、攻めの視点での、借入と時間の関係です。
次に、守りの視点で見てみます。
経営をしていると、どうしても業績がピンチになることもあります。
その際に、もし手元に資金がほとんどなかったらどうでしょう?
残り一か月で立て直さないとキャッシュが尽きて倒産・・
なんて状況だったら、まず再建は無理でしょう。
もしその時に借金は多くてもキャッシュが潤沢にあり、
「業績は悪いが、キャッシュはたくさんあるから、当面心配ない。
じっくり立て直そう」
という状態だったらどうでしょうか。
これは、借入により再建までの時間を買ったようなものです。
これが、守りの視点です。
このように、「借入をする」とは、
攻めにおいても守りにおいても
経営を支えてくれます。
「好き嫌い」
だけではなく、このような視点を持つと、
より業績アップにつながる判断ができるようになります。