「パーセント」に騙されるな

今回のテーマは、「パーセントに騙されるな」についてです。



経営分析などの勉強をしていると、よく「パーセント」が出てくると思います。



前年比●%アップとか、

 

売上比●%、とか。



この「パーセント」は便利だし役に立つのですが、

使い方を間違えると、無意味だったり有害だったりするので、

注意しましょう。



【例1:パーセントに引っ張られすぎない!】

 

経営分析をしていて、あなたは自社の決算書からこんな数字を見つけました。



交際費:前年比300%



交際費が前年に比べて3倍になっている、ということです。



あなたはこれを見て、どう思いますか?

 

交際費が3倍!?

無駄遣いし過ぎか?

すぐに改善しないと!



ところが、じっくり見てみると、実際の内容はこうでした。

 

交際費:

前年 1万円

今年 3万円

 

たしかに、3倍になっています。

 

しかし、もともと1万円しか使っていなかった交際費が3万円になっただけの話。

 

はっきりいって誤差の範囲です。



「300%」と聞くと大きな問題に見えますが、実際は大したことではありません。

 

「パーセント」に引っ張られすぎないようにしましょう。




【例2:実額を見よ!】

 

例1と同じような話ですが、「粗利」を比較したものです。





粗利率が、前年に比べて5ポイントも下がっています。

 

これも、通常なら大きな問題になりそうです。



しかし、粗利「額」を見てみましょう。

 

前年:13,500,000円 → 当年:15,700,000円

 

増えていますね。

 

粗利「率」が下がったのに、粗利「額」は増えている。



例えば、あえて値下げをして、単価は下がったものの販売数を増やしたのかもしれません。

 

あるいは、前年までとは違うサービスや商品を導入したのかもしれません。

 

いずれにせよ、「額」は増えているので、「必ずしも問題あり」とは言えません。



率だけではなく、「額」に注目しましょう。




【例3:比べる意味ある?】

 

次は、ある自動車整備工場の売上と粗利額と粗利率です。

 

 

粗利「率」は大きくアップしていますが、粗利「額」は逆に大きく下がっています。



これは、前年は「中古車販売」がメインだったのが、当年は中古車はほぼ売れず、車検や整備メインになったためです。



こうなると、そもそもビジネスの内容が違いますから、比較する意味も無い、ということになります。



以上、「パーセント」の誤った使い方について解説しました。

 

経営数字の勉強をしていると、「パーセント」を使った分析が多く出てきます。

 

が、数字を機械的に見るのではなく、その意味をしっかり理解するようにしてくださいね。